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【私設文化的公共空間】しせつぶんかてきこうきょうくうかん
有形無形に関わらず利用者が持つ固有の様式を強制または制限されることなく発揮し、また利用者がそれぞれの多様性を寛容し、場合によっては共有されることが起こり得る、個人により運営管理される場所。

2017年9月に菓子製造所の許可を取り、「tenten」をはじめ三年が経ち、これから新しく「書庫 山閒秋夜」を開始していくにあたり、「場」全体の在り方について考えてみました。
「場」の呼び方として、しっくりくる言葉が見つからなかったので、「私設文化的公共空間」と名付けてみることにします。

ここには喫茶室、本屋、広場、ベンチ、井戸、焚き火などの機能が大きな自然の中にあります。これらは公園にある遊具のようなものだと考えています。公園は何か明確な目的を持った人も、特に用がなくぼーっとしたい人も、選別されずに訪れる場所で、それぞれの人が思い思いに過ごすことができる場所です。しかし、近頃の公園は禁止事項が多くて訪れる人も過ごし方も決められて、ルールの中にストンと押し込められる居心地の悪さがあると感じています。みんなのために作られた場だから、みんなが不快な思いをしないように、みんなが我慢するような。

だからここは、本来の意味で自由に過ごせる場所にしたいと考えています。みんなが周りの人をちょっとずつ思いやることで、訪れる人を選別しない「だれかの居場所」になれたら良いなと考えています。

どうしてそれをわざわざこんな山の中でやっているのか。
きっかけは、たまたま使わせて頂ける土地と建物が目の前にあったことです。「何もない」と言われて久しいこのド田舎ですが、見渡せば草木や小川、田んぼや畑、古い家や神社、そこで暮らす人々と文化で満たされていました。


ここでの「普通」と都会での「普通」は大きく違うと思います。だから混ぜてみたら何か素敵なことが起こるような気がして、この場所を生かしてみようと思いました。

喫茶室、本屋、広場、ベンチ、井戸、焚き火。これらを包み込む自然。ここを訪れる多様な人たちと、多様な過ごし方。何かが起こるかもしれないし、何も起きないかもしれないけど、そういう余白を楽しめる場所にしたいと思っています。

令和2年10月吉日

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